海外顧客へのサービス提供と決済プラットフォーム活用ガイド

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近年、グローバル市場でのビジネス展開がますます重要となっています。Stripeなどの決済プラットフォームを活用して海外顧客にサービスを提供する場合、そのプロセスや税金、請求に関する注意点を把握することが成功の鍵となります。本記事では、その進め方と主要国ごとの注意点を解説します。

1. サービス提供の進め方と決済プラットフォームの活用

ステップ1: 対象国と市場の調査

海外展開を成功させるには、提供するサービスや商品が対象国の需要に合致しているかを確認することが必要です。また、対象国の消費者習慣や競合状況を把握しましょう。

ステップ2: 決済プラットフォームの選定

Stripe、PayPal、Squareなど、多くの決済プラットフォームが利用可能です。以下のポイントを考慮して選定します。

  • 対応地域: サービスを提供する国で利用可能か確認。
  • 決済方法: クレジットカード、デビットカード、ローカル決済などの対応状況。
  • 手数料: 取引ごとの手数料や為替手数料を比較。
  • サポート: 多言語対応やトラブル時のサポート体制。

ステップ3: プラットフォームの設定

アカウントを作成し、以下を設定します。

  • 銀行口座の登録(多通貨対応の口座が望ましい)。
  • 税金や請求書発行のフォーマット設定。
  • サービスや商品の価格設定と通貨設定。

ステップ4: 顧客への告知とテスト

設定完了後、実際に少額取引をテストして問題がないことを確認します。その後、顧客にサービスを告知します。

2. 税金や請求に関する注意点

一般的な注意点

  • 税務登録: 対象国での事業登録が必要な場合があります。
  • 消費税/VAT: 欧州連合(EU)やオーストラリアではVATやGSTの登録が必要な場合があります。
  • 所得税: 国際的な収入については本国での申告義務を確認しましょう。
  • 請求書: 各国の法規制に従った請求書フォーマットを使用する必要があります。

主要国ごとの注意点

アメリカ

  • 税金: 物品販売の場合、一部の州では売上税(Sales Tax)が課されるため、州ごとの税率を確認。
  • Stripeの特徴: ACH(米国内送金)やクレジットカード決済が広く利用されます。
  • 注意点: 請求書に顧客の住所や納税者番号を記載することが推奨されます。

欧州連合(EU)

  • 税金: VAT登録が必要。販売する国ごとの税率に従う必要があります。
  • Stripeの特徴: SEPAダイレクトデビットやiDEAL(オランダ)などのローカル決済方法に対応。
  • 注意点: VAT番号を請求書に記載し、EUのVAT MOSS制度を活用すると簡略化できます。

日本

  • 税金: 消費税が適用される場合があります。海外顧客への請求時は非課税となるケースも。
  • Stripeの特徴: クレジットカードが主流ですが、コンビニ払いなどローカル決済も利用可能。
  • 注意点: 日本語と英語の両方で請求書を用意することでトラブルを回避。

オーストラリア

  • 税金: 75,000 AUD以上の売上がある場合、GST登録が必要。
  • Stripeの特徴: ローカル決済方法であるPOLiやAfterpayに対応。
  • 注意点: 顧客にGSTが適用される場合、請求書に明記する必要があります。

3. 日本法人でのStripeアカウント利用と主要国ごとのアカウント作成の比較

日本法人でStripeアカウントを利用する場合の注意点

  1. 税務管理: 日本法人で売上を計上する場合、すべての取引に対して日本の税法が適用されます。海外顧客への販売では、消費税が非課税となる場合が多いですが、輸出取引として適切に管理する必要があります。
  2. 為替リスク: 海外取引では外貨での決済が主流になるため、為替変動による収益の影響を考慮し、多通貨対応口座を利用するか、為替予約を検討しましょう。
  3. 顧客対応: 日本法人名義での請求書発行やサポート対応が必要になる場合があります。海外顧客向けに英語対応を準備しておくことが推奨されます。

各主要国ごとにStripeアカウントを作成する場合の注意点

メリット

  • ローカル決済方法の活用: 国ごとのローカル決済(例: EUではSEPA、オーストラリアではPOLi)に対応可能。
  • 税務効率: 各国での税務登録を行い、現地の税率や規制に沿った運用が可能になる。
  • 為替コストの削減: 現地通貨での取引により、為替手数料を抑えることができる。

デメリット

  • 複数アカウント管理: 各国のアカウントごとに管理が必要となり、運用が複雑化する。
  • 税務コスト: 現地法人の設立や税務申告が必要になる場合がある。
  • 初期設定の負担: 現地での銀行口座開設やStripeアカウント作成には時間とコストがかかる。

国別の具体例

  • アメリカ: 現地法人がある場合、ACH送金の利用が可能で手数料が低減されます。ただし、州ごとのSales Tax登録が必要になる場合があります。
  • EU: VAT番号が必須となるため、税務登録が必須です。複数国にまたがる場合は、VAT MOSSを活用して効率化が図れます。
  • オーストラリア: 現地でのGST登録が必要となる場合があります。StripeのAfterpayなどローカル決済に対応することで競争力を向上させられます。

4. 決済に関するよくある課題と対策

為替リスク

為替変動による収益の変動を避けるため、多通貨対応口座や為替予約サービスを活用しましょう。

チャージバックへの対応

顧客からのチャージバック要求に備え、取引の証拠を保管し、プラットフォームのガイドラインに従って対応します。

不正取引

決済プラットフォームが提供する不正検出ツールを活用し、取引をモニタリングします。

5. まとめ

海外顧客に対するサービス提供では、対象国ごとの税金や規制を理解し、適切な決済プラットフォームを選定することが重要です。また、請求書や取引データの管理、不正取引への対応を徹底することで、スムーズな運用が可能になります。

日本法人でのStripeアカウント利用と各国ごとのアカウント作成の選択肢には、それぞれメリットとデメリットがあります。事業規模や展開戦略に応じて最適な方法を選び、グローバル市場での成功を目指しましょう。

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